化学工学とは

化学工学は、熱力学、運動量・熱・物質の輸送現象論、化学反応速度論、各種分離操作、化学装置制御理論、プロセスシステム工学などを統合的に展開・運用することで、化学製品を最も経済的に安全に、そして環境に優しい形で製造するための工学です。

化学工学は二十世紀に入ってから石油精製や石油化学産業とともに興りましたが、その後、繊維や鉄鋼・非鉄金属、食品、医薬、エレクトロニクスなど、多岐にわたる製造プロセスへ応用範囲が広がると同時に、公害・環境問題への貢献、バイオテクノロジーやナノテクノロジーとの融合も進展しています。

二十一世紀に入り、エネルギー・資源の逼迫、地球温暖化への関心の高まり、グローバリゼーションの進展とともに激化する国家間競争、留まるところを知らない情報技術の発達などの流れの中、化学関連産業やエネルギー産業は数多くの新しく、かつ困難な課題に直面しています。

化学工学は、あらゆる課題をシステムとそれを構成する要素から成る構造体として捉え、分析と総合によって最適な解を見出す手法であると捉えることも出来、それゆえに化学以外の一般産業、さらには経済社会の諸課題の解決にも極めて有効なものの見方、考え方を提示してくれます。化学工学が果たすべき役割、化学工学への期待にはますます大きなものがあります。